日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2023年2月2日就活面接で説得力のある話をするには?



★就活生は抽象的な話が多い


日本話し方センターのベーシックコースには就職活動を控えた大学生がよく受講されています。就職面談できちんと話をする自信がない、実際にインターンで面接を受けたが失敗した、という人たちです。そういう受講生と話をしていてとても気になることがあります。それは話が抽象的ということです。



例えば、こんな感じです。
「私は学生時代、野球部に所属して一生懸命に練習した結果、県大会で準優勝することができました。部活を通して意識していたことは、今自分は何をすればチームに貢献できるかということを常に考えるということです」
チームに貢献する、という言葉は理解できますが、どのような貢献を、どのように考えて行い、その結果どうなったのか、ということがこの話ではよくわかりません。この点を就活中の受講生に質問しても残念ながら曖昧な返事しか返ってこない、ということがとても多いのです。
では、どのようにしたら話を具体的にできるのでしょうか。




★就活中の受講生Dさんの例


それには具体的なエピソードを話の中に盛り込むのが最も効果的です。ベーシックコースを受講していた就活生のDさんの例でご説明します。


Dさんは、自分の話が抽象的なことは分かっていたのですが、どのようにすればわかりやすい話ができるのかわからず、悩んでいました。このことについてDさんから相談された私は、小学生から今まで経験してきたことで、自分の特徴が出ていると思うエピソードや心が動いたエピソードを書き出すようお願いしました。具体的な事実を集めることをお願いしたのです。
数日後、Dさんは私がお願いしたエピソードを書き出してきましたが、何だか浮かない顔です。「書き出してはみましたが、どれもピンと来なくて・・・」と言うのです。Dさんが書き出してくれたものは次の様なものでした。


①高校時代は数学が好きだったが、数学の公式に当てはめて解くのではなく、なぜそういう公式になるのかという本質まで掘り下げて理解して解くようにした。これは、誰でもできることをやるのは嫌で自分ならではのユニークさを出したかったからだと思う。
②小学生から今まで友達は多かったし、今も友達と関わることが楽しいと感じている。
③小学校高学年の時、友達と秘密基地を作るのに熱中した。自分たちだけの落ち着ける空間を作るのが楽しかった。


私はこれを見て即座に、これはいける! と思いました。話が少し具体的になってきましたし、①~③に関連性がある様に感じたからです。「Dさんにとって友達とはどういう存在ですか?」と確認すると「自分にとってなくてはならないものです。でも、友達には自分と似たような人が多いですね・・・お互いに競い合う存在かも知れません」という答えが返ってきました。





★話と話をつなぎ合わせる


そこで、私は次のような仮説を考えたのです。
・①と③を見ると、Dさんは自分の個性を活かした、自分だからできるユニークさを大切にしているのではないか。また、何かを創り出す、ということにとても興味があるのではないか。
・②と③と追加の応答から、Dさんにはお互いに切磋琢磨する存在が不可欠なのではないか。
この仮説をDさんに話してみたところ、「あっ! そうです! 何だかとってもしっくりきます!」という反応が返ってきました。


そうであれば、Dさんがどのような会社に勤めたいと思っているか、ということもイメージできてきます。
・独創性豊かなものを生み出すことにチャレンジしている会社
・新しいものを創り出すことに社員同士が情熱を傾けている会社
Dさんにこれも伝えたところ、「そうですね。とても納得できます。」とうれしそうでした。




★具体的なエピソードを探してつなぐ


当初浮かない顔をしていたDさんは、エピソードを書き出すのが精一杯で、話をつなぐという視点が弱かったのです。人間は集中して考えていると極端に視野が狭くなるので、Dさんが気付かなかったのはある意味当然のことです。しかし、上に述べたように一つひとつの話を解釈した上でつないでいくことで新たなものが見えてきたり、新たな発想ができるようになります。


就活においては自分の性格や特徴、考えを端的に語って相手に納得してもらわねばなりません。その際に裏付けとなる事実=エピソードを話すことは必須なのです。そして、それらのエピソードから紡ぎ出される自分の特徴を整理せねばなりません。これから就職面接を受ける人は、過去の自分のエピソードをできるだけ書きだして、それらを客観的に見てつなぎ合わせてみてください。きっと新たな発見があり、面接で話す材料が次々にできてくるはずです。




★話の組み立てるスキルを磨きましょう!


日本話し方センターのベーシックコース2日間集中セミナーでは、体験談をもとに話を端的かつ具体的にまとめるトレーニングを行っています。受講された多くの就活生が面接をクリアして内定を勝ち取られています。話をまとめることが苦手な方もぜひ受講をご検討ください!

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